原油先物取引
原油価格が高騰しています。5年ほど前まで1バレルが40ドル程度だったのが、現在では140ドル超と、実に約3.5倍にまで上昇したことになります。このままいくと年内には200ドルを超すのではないかともいわれています。高騰の主な原因は、サブプライムローン問題による通貨への不信感から、原油や穀物などの先物に資金が流れたことによるものです。原油高に関しては、OPECの増産も期待できないという点からも、原油価格はまだまだ上昇するという見方が強いようです。
では、この原油価格を動かしている原油先物取引とはどのようなものでしょう。
先物取引とは、将来の一定時期に商品を受け渡しすることを約束して、その価格を現時点で決める取引です。将来の取引ということから先物取引と言います。また、必ずしも1年後に代金と商品の交換を行わなければならないわけではなく、通常の現物取引と区別されます。
つまり、決済日(納会日)前であれば、いつでも自由に買ったものを売り(転売)、売ったものを買う(買戻し)という反対売買をすることにより、商品と代金を受渡することなく、売買の差額すなわち差金を授受することにより、取引を終えることができるのです。このように、商品を持たずに取引をする方法を差金決済と言います。
差金決済を利用することで、現物商品が無くても売買ができ、また、売り、買いどちらからでも始めることができるので、通常の取引と違って、値上がりしなくても利益がでる可能性があります。
ですから、生産者、流通業者、商社などの現物を目的とする業者以外の人も資産運用を目的として市場に参加することが可能なのです。
具体的に例を示せば、原油価格が上昇局面にあると見て、「相場が120万円する原油を半年先の12月1日に買う契約」をしたとして、12月1日までの間で、代金122万円の相場がついた時に、「12月1日に、122万円で原油を売る契約」をします。すると、支払う代金120万円と受取る代金122万円の差額(差益)2万円を受取れば、原油の受け渡しを要しないで、取引は終了ということになるのです。
以上が、基本的な先物取引のあり方です。