今期ソフトバンクホークスは10試合近くをサヨナラ勝ちしています。ホークスファンにとってはたまらないでしょう。もっともサヨナラということは、それまで負けているか同点ということですから、もっと楽な勝ち方を願っているかもしれませんが。
ところで、ホークスが勝つとヤフードームの中で花火が上げられます。
ホークスファンならずとも、おーと声を出してしまいます。私は打ち上げ花火が見たくて行っているのだよという人もいるほどです。
その花火ですが、屋根が閉じているのにどうやって上げているのでしょう。
実は打上げではなく、仕掛け花火の一種で屋根から吊るされているのですよ。ご存知でしたか。
天井にある通路に花火師が構えていて、ホークスが勝ったら点火するという仕組みなのです。ホークスが負けていても、延長でどんなに試合が長引いても、試合終了までじっと待ち続けます。当然、ホークスが負けて火をつけられずに撤収というケースもでてきます。接戦の末敗北という時は花火師達もがっかりでしょうね。しかし、彼らがもっとも神経を使うのは、勝利の演出に大きな役割を担う花火が見事に花開くかどうかでしょう。感動の一瞬に全てをかける職人、花火師。粋な仕事に思えます。
その花火師とはどういう人たちでしょう。「花火師」とは俗称で、正式にはそのような肩書きは存在しないのだそうです。花火に携わる為には、まず(社)日本煙火協会の会員である花火関連会社の従業員となって打上げ技能を習得し、事業主に技能を認められたうえで保安講習を受講して、(社)日本煙火協会が交付する「煙火消費保安手帳」または「煙火消費保安臨時手帳」を取得しなければならないということです。ただし、その手帳を取得すれば花火に関わる仕事が全て出来るというわけではなく、最低限必要な資格のようです。他にも火薬類取締法に基づく「火薬類取扱保安責任者」の資格など、花火の製造から企画、演出、打上げまでこなすには様々な資格が必要で、なかなか厳しい世界のようです。
花火業界は季節労働で、繁忙期はやはり夏ということになります。夏場限定の臨時作業員を募集するそうですが、専門的な仕事であるため誰でも良いというわけにはいかず、工場、建設、電設現場での実務経験があり、危険物を取り扱う作業に従事している人が望ましいのだそうです。
また、火薬を使う危険な作業であるため、花火作りはすべて手作業です。色とりどりの綺麗な色は、配合する金属の種類と割合によって決まるのだそうです。その配合に腕の見せ所があるのです。火薬を配合したら水を加えて練り、天日で乾燥させ、その火薬を玉の中に隙間なく並べ、更に天日での乾燥と、イメージ通りの花火になるように何度も繰り返しながら作っていくのです。花火一発を作るのに膨大な手間がかかっているのですね。
花火大会シーズン真っ只中です。あの美しい花火一発一発に込められた花火師の想いと苦労を噛み締めながら見ると、感動もまたひとしおではないでしょうか。
ちなみに、花火大会で叫ぶ「玉や」、「かぎや」という言葉は花火業者の屋号(「玉屋」「鍵屋」)から来ているのだそうですよ。