夏の終わりに
M  ついさっきまで堀江さんと食事をしていたんですよ。
宮崎 えーっ。M会長は、堀江さんについて「金さえあれば何でもいいんだ、力ずくでやれるんだという考え方は、今の日本の教育の成果かなという感じを持った」と酷評されていたじゃないですか。初対面で印象変わりました?
M 一年前、初めてテレビで観たときは、正直、良い印象はなかったな。私の発想が古いのかもしれないけれど、公的なことで人様の前に出るのにネクタイぐらいしろ、と。礼節や長幼の序をおろそかにしてきた戦後教育の悪い部分がそのまま出ているような気がしてね。
でも実際会ってみると、非常に純粋で真面目な好青年でした。今日は宇宙旅行事業に関する彼の抱負を聞いたのですが、まだ三十三歳だというけれど、発想が実に豊かですね。正直言って、尊敬します。ただ、今日もネクタイはしていなかった。
宮崎 彼は猪首なので、ネクタイをすると首が絞まるといって嫌がるんです(笑い)。
M それは私だって同じだよ(笑い)。
ある月刊誌での対談から  2006年2月号(新春初夢政談)

Mはかつて総理大臣をし、キングメーカーなどと言われ、たびたびマスコミに登場する大物政治家で、宮崎は、評論家宮崎哲弥氏である。

ホリエモンを尊敬しますと言った、このキングメーカーが、その後どこかでその発言に関して何かを言ったかどうかは知らない。

「想定の範囲内」
 「金を持っているやつが偉い」
 「人の心はお金で買える」
 「自称中流は、いまや下層階級」
 「女はお金についてくる」
 ご存知、堀江貴文被告の言葉である。

1972年10月29日 福岡県八女市生まれ。久留米大附設高−東京大学文学部中退。黒いTシャツにノーネクタイがトレードマーク。
2005年9月 衆院選に広島6区より無所属で出馬し落選。
2006年1月23日 東京地検特捜部により証券取引法違反(風説の流布・粉飾決算など)の容疑で逮捕される。
2006年4月27日 東京地方裁判所より保釈が認められる。保釈金:三億円。
2008年7月25日 控訴審判決で懲役2年6ヶ月の1審判決が支持される。

若者に、いや絶頂時は中高年にも支持され、時代の寵児として連日マスコミをにぎわし、もてはやされ、そして、やがて、蛇蝎のごとく忌み嫌われ罵倒される羽目になったホリエモン、つくづく浮世の冷たさと軽さを思い知らされる。
一世を風靡したそのホリエモンも世間の記憶から消え去ろうとしている。

時の総理大臣小泉純一郎氏率いる自民党が衆議院選挙で大勝してからはや3年、
総理大臣は、安倍晋三氏へと代わり、突然の辞任で、福田康夫氏が選ばれ、その福田氏も本稿作成中に突然辞任した。

その裏で暗躍する政治家(せいじや?)たち、そして無責任で無節操なマスメディア。
次は民主党が政権をとるのだろうか。そして、何が変わるのだろう。

評論で食しているわけではない、政界とは無縁の、競争社会の中で生活の糧を作らなければならない一国民にとって、わが身を守る方策にも限界がある。諦観の目線を送る意外に方法があるのだろうか。
 やがて9月、逝く夏がもたらす寂寥感による感傷から言うのでは決してないが、秋風がことのほか冷たく感じる予感がする。

熱く、強く、頼れるリーダーがほしいものである。

T・H
この記事に関するご意見
ご感想はコチラ