百三歳と九ヶ月あまりの長寿をまっとうした飯田深雪は、元来、病弱の質で健康には自信が無かったと言っている。
しかし、「ひとも驚く健康」な人生を歩んでこられたのは、心をいつもわだかまりのない、気持ちのいい状態にしておいたからだという。
それは、「たとえ、戸棚の掃除といった小さなことであっても、気になっていたら、すぐに、片付けなくてはいけません。
誰が知らなくても、自分で気持ちが悪い状態にしてはいけないのです」
という心構えで、そういう思いが、絶えず忙しく、じっとしている暇を与えないと記している。
そして、「やるべきことは書いておくことです。人間の記憶力を、あまり過信しないことです」とアドバイスしている。
そのやるべきことを終えたとき、書いた項目を消す。この消すという気持ちのよさ、それが、次のステップにつながるといい
「人は、今、やらないことは、往々にして一生やらないものです」と、至言を提示してくれる。
(補足)
飯田深雪(いいだみゆき)
明治36年生。
結婚後、42歳から西洋料理と布から花をつくること(アートフラワー)を教え始め、
多忙な生活が、ひとも驚く健康をもたらしたと述懐している。