一 、至誠に悖るなかりしか (真心に反するようなところはなかったか)
一 、言行に恥ずるなかりしか (自分の発言や行動に恥じるべきところはなかったか)
一 、気力に缺くるなかりしか (惰性ではなく、気力に満ちていたか)
一 、努力に憾みなかりしか (最善の努力をしたか)
一 、不精に亘るなかりしか (妥協や手抜き、自己満足に陥ることはなかったか)
この「五省」は、江田島の海軍兵学校において、将来海軍将校となるべき兵学校生徒に対し、
日々の行為を反省させ、明日の修養に備えさせるための自戒の言葉として、この五箇条を制定したといわれています。
毎晩、自習終了五分前になるとラッパが鳴り響きます。
すると、生徒はみなすばやく書物を机の中におさめ、粛然と姿勢を正します。
当番の生徒が「五省」の五項目を読み上げる。
生徒は瞑目して心の中でその問いに答えながら、その日一日を自省自戒したそうです。
現在も海上自衛隊幹部候補生学校、第一術科学校でもこの伝統が受け継がれているそうです。
また、戦後に来日した米国海軍少将がこの「五省」に感銘を受け、自国に持ち帰り翻訳し、
現在もアナポリスの海軍兵学校で利用されているといいます。
最近の風潮は、概して、相互不干渉で人から批判されることも少なくなっており、ついつい自分にも甘くなりがちです。
一日の終わりには、この「五省」を唱じて、己を律する必要がありそうです。