「全従業員の物心両面の幸せを守らなければならないリーダーは真の勇気を持っていなければなりません。
同時に卑怯な振る舞いがあってはなりません。
経営者は決してぼやいてはいけないのです。逆境であればなおさらです。
たとえ虚勢であってもいいですから、そこで踏ん張るのです。
苦しい時には、誰だって勇気があるわけではありません。
縮み上がって、逃げて行きたいような時に踏みとどまることを、「真の勇気」というのです」
京セラ・KDDI 創業者 稲盛和夫「経営の原理原則12カ条」から
なぜ、「勇気」が必要なのか、
まずは物事を判断するときに必要になってくるからです。
私は、企業経営にあたり、「人間として何が正しいか」という原理原則に従い、
判断をしていけば誤りはないだろうと考え、それをただひたすらに貫いてまいりました。
ところが、多くの経営者の方が、原理原則で判断して結論を下さなければならないというときに、
様々なしがらみが生じ、そのために判断を誤ることが往々にしてあるのです。
例えば、企業にとって何が正しいかということが第一義にならず、
なるべく穏便に済ませ、無用な波風を立てないということを判断の基準としてしまうことがあります。
経営者に真の勇気があるかないかということが問われてくるのは、そのような局面です。
よしんば原理原則で結論を下し、脅迫を受けるなど、
自分に災難が降りかかってくることがあろうとも、
また人からいかなる誹謗中傷を受けようとも、全てを受け入れ、
会社のために最も良かれと思う判断を断固として下すことができる、
それは経営者が真の勇気を持っているから出来ることなのです。
「こんなことをしたら、やくざから脅されはしないだろうか」
「経営者仲間からバカにされ、つまはじきにされるのではなかろうか」
などという迷いによって、正しい経営判断ができなくなってしまいます。
やはり原理原則に基づいた正しい判断を下すためには、
「勇気」というものが不可欠であります。
経営者に必要な勇気、それは「胆力」とも言い換えることができるかと思います。
「知識」とは、様々な情報であり、それを理性で知っているということです。
しかし、知識だけでは、単なる物知りであり、それはあまり意味がありません。
「知識」を「見識」にまで高めるべきなのです。
この「見識」があって初めて経営者ということが出来るのです。
さらに真の経営者を目指すならば、「胆識」を持ち合わせなければなりません。
「胆識」とは「見識」に胆力、つまり勇気が加わったものです。
このような「胆識」というものが経営者に備わって初めて、
いかなる障害が現れようと、正しい判断を下し、
敢然とめざす方向に経営の舵を取ることが出来るのであります。
と、氏は、言っています。
規模の大小を問わず、極めて厳しい経済情勢の真只中にあり、
経営者はたいへんな立場にあると思います。
しかし、誰にも弱音を吐けず、一人考えた策が、
結果、従業員を欺き、お客様を騙すようなことであってはならないのです。
安易で卑怯なものであってはいけないということだと思います。
K.N