「非嫡出子」これ、読めますか?「ひちゃくしゅつし」と読みます。
その意味をご存知ですか?
“法律上結婚をしていない男女間に生まれた子”という意味で、対して「嫡出子」とはその反対の意になります。
恥ずかしいのですが、初めてこの言葉を見た時は読めなくて、当然意味もわかりませんでした。後に調べて読み方と意味を知ったのですが、その時に耳障りがよくない言葉で、漢字としてもちょっと怖い文字だなと思いました。
最近の日本でも、欧米のように“シングルマザー”が増え、“事実婚”と言われる、婚姻届を出していないけれども、夫婦としての意識を持って共同生活を営んでいる男女がいることが広く認知されてきました。マスコミ等では『婚外子』(こんがいし)という言葉を使うことが多いようです。
個人的には関心が薄く現実感がなかったのですが、改めて、調べてみてたいへん驚きました。
民法または戸籍法によると、A夫さんとB子さんが離婚後300日以内にB子さんが産んだ子は、A夫さんとB子さんの嫡出子となり、戸籍の父母の氏名欄に双方の名前を記入します。それ以後に生まれた子は非嫡出子となり、母親の氏名のみ記入し、父親が“認知”することで父欄に記載されます。嫡出子は父親の氏を称することができますが、非嫡出子は母親の氏を称し、認知により、父子関係が確認された場合、家庭裁判所の許可を得て、父親の氏を称し、その戸籍に入ることができます。
しかし、非嫡出子が“認知”によって「嫡出子」になるわけではなく、嫡出でない子が父親によって認知された後、その子の父母が“結婚した場合”に『嫡出子としての身分』を取得することになるのです。これを“婚姻準正”といいます。
また、認知されていない嫡出でない子の父母が結婚し、認知した場合も嫡出子たる身分を取得します。これを“認知準正”といいます。
そして、『婚姻届』を提出する前に子が生まれ、『婚姻届』と『出生届』を同時に出した場合には、“認知の効力を有する出生届”になるとされています。
A夫さんと婚姻中のB子さんが、C男さんを実の父とする子を生んだ場合、夫(A夫さん)以外の男性(C男さん)が認知することはできません。このような場合、原則として、A夫さんとB子さんの嫡出子と戸籍に記載された後、A夫さんはその子が生まれたことを知って1年以内に“嫡出否認の訴え”を起こし、その父子関係を否認することができます。そして、裁判確定後に実の父親(C男さん)が認知できることになります。
法律ではこういうことになっているのかと感心し、また「非嫡出子」という身分に対する“差別”に驚きました。
そこで、“嫡出”という漢字の意味を調べてみました。
嫡出とは、正妻から生まれること。嫡とは、原義で正妻。ひいて正妻の生んだ子。跡取、世継ぎの意に用いるとありました。ここで、歴史小説では単なる『妻』ではなく、『正妻』とか『正室』と、また『子』ではなく、『嫡男』と明確に記述されていることを思い出しました。
時代は移り、男女のあり方も変化していますが、法律上、今も昔も“婚姻の重み”はあまり変わっていないなと感じました。
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