ひらの税理士事務所




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 越境汚染
 
最近、空がかすんでいることが多いと思うのは恐らく筆者だけはないと思います。真夏だというのに、スッキリした青空になかなかお目にかかれません。このかすみの原因は何なのでしょうか。

今年4月に福岡県北九州市で光化学スモッグ注意報が発令されました。(1970年代の日本では、高度成長期のあおりを受け猛威を振るっていましたが、1980年代以降は工場の大気汚染物質の排出の規制が進み、最近ではあまり聞かなくなっていました。)
原因は中国の工場地帯だといわれています。しかしその後の注意報等の発令はないので、若干の影響はあるとしても、光化学スモッグによるかすみではないようです。

かすみの真犯人は、断定することはできませんが、黄砂ではないかといわれています。黄砂は光化学スモッグに比べて、それほど深刻なものではないため、大量に飛来するとき以外は公表されません。
黄砂観測は、現在のところ観測担当者が「目視」で観測しているとのことで、明らかに空がかすんで見えても担当者次第では「黄砂の観測はありません」という、かなり手ぬるい報告です。

しかしこの黄砂、かなりの曲者です。黄砂は中国大陸の砂漠地帯で巻き上げられ偏西風に乗って日本に渡って来るのですが、中国の工業地帯の上空を通過する際に、大気汚染物質を吸着し、健康に悪影響を与える汚染物質に変身しているのです。黄砂で問題なのは、日本に到達する黄砂は北京に到達する黄砂よりも粒子が細かいため被害を気にしない人が多いことです。

黄砂には大気汚染の化学物質が付着しているため、化学物質過敏症の傾向となり、黄砂でアレルギーが悪化する人も増えています。大気汚染物質の付着した黄砂で喘息や気管支炎を発症する人も増えています。福岡でも、咳やのどの痛みで病院を訪れる人が急増しているとのことで、黄砂との因果関係が気になります。

すでに中国は、米国を抜き世界一のCO2排出国になったといわれています。来年にはオリンピックが開催されることもあって、急速に工業化を進めているため、黄砂や光化学スモッグの飛来量は今後ますます増加するのは必至です。

政府がこの越境する大気汚染の進行を抑えるための政策を怠れば、我々日本人の健康はどんどん犯され続けることになりかねません。まず越境汚染の現状を充分調査し、国民に現状を報告すると同時に、汚染源である中国に環境改善を要求するべきです。

かつて、日本も深刻な公害問題に直面した時期がありました。空は茶色にかすみ、川に魚が浮いているのを目にしたものです。経済成長の過程で通る道とはいうものの、放っておくわけにはいきません。また日本で同じ光景を見るのはごめんです。

難しいことかも知れませんが、日本のために言うべきことは言う「もの申す力」を是非とも見せて欲しいものです。